杉原信幸(信濃の国 原始感覚美術祭・アートディレクター)氏は、2019年のACCのフェローシップを受け、台湾の原住民文化や祭りの調査を継続するとともに、長野で毎年開催される芸術祭のため、現地のアーティストとの交流を行っています。氏のフェローシップは、台湾原住民族のパイワン族による五年に一度の祭典「五年祭」、また、偶然にも新型コロナウィルスの大流行という希代の出来事と重なりました。この5月も台湾に滞在されています。
わたしは今、ACCのグラントで6ヶ月間の台湾原住民文化のリサーチのため台湾に滞在しています。
世界中が緊急事態宣言を出す中、わたしは台湾においてリサーチと制作を続けることができています。
原住民文化とともにあるハイブリッドな文化が、台湾の心優しく、他者を受容し、祭りを愛し、創造性に溢れ、女性と子どもを大切にする社会を生み出していると思います。それは、男性中心の権威主義の蔓延る日本の社会の行詰りと対照的です。土地とともに生きる原住民文化の、命を生み出す女性が力を持ち、命を大切にするというごくあたり前の選択をしていくことがこの危機的な状況におけるひとつの解であると感じます。
杉原信幸
上下写真:杉原信幸氏とパートナーの中村綾花氏、作品と共に。
(上)台東で開催された台湾東海岸大地芸術祭にて。 (下)屏東で開催された「2019坂の上芸術祭」にて。
杉原氏は作品について、「その土地から頂く素材を用いて、その土地の人が育んできた表現を学び、人と自然が共に生きていくための場を創造します」と綴っています。