フランスと日本を拠点に活動するユニ・ホン・シャープさんは、構築されたアイデンティティの不安定性と多重性、また記憶の持続をめぐり、パフォーマンス、映像、インスタレーションを制作しています。制作においては主として、言語を使った様々な形式、また個人の経験とアーカイブを接続することで生まれる新しい文脈や体験の提示を試みています。今回韓国にて約2ヶ月のフェローシップを行い、現代社会に生きる個人に表出した「暴力」と、そこからの「癒し」をテーマに、翻訳という形式の持つ暴力性とホスピタリティーに着目し、日本語と韓国語がどのように相互に翻訳されてきたか、アーカイブのリサーチや専門家への聞き取りを行います。また「植民地主義的暴力とそのトラウマの癒し」に関連して、韓国で社会的・文化的に「癒し」がどう表象されてきたかを調査するため、現地の温浴施設やパワースポット等を視察します。
プロフィール
一橋大学商学部を卒業後、2005年に渡仏、2015年にパリ=セルジー国立高等芸術学院でDNSEPを取得。2022年、ICA京都2021-22年度特別研究員、城崎国際アートセンターでの滞在制作を経て、作品《Encore》を制作。2020年、京都舞台芸術センターにて「レクチャーパフォーマンス制作とその翻訳に向けて:崔承喜をめぐるダンスとことば」研究代表 としてプロジェクトを実施。広島現代美術館ゲンビどこでも企画応募2017、岐阜県美術館Art Award In the Cube2020で審査員賞、ミュルーズ青年国際ビエンナーレ015でグランプリを受賞。