2011年9月9日〜10月29日、MISA SHIN GALLERY

磯崎新さん(1976年*、1978年*グランティ)の個展が開催されます。

磯崎 新
過程|PROCESS

会期:2011年9月9日(金)– 10月29日(土)
オープニングレセプション:2011年9月9日(金)18:00 − 20:00
*磯崎新によるパフォーマンスを19:00より予定しております
開廊時間:火−土(日月祝休)12:00 − 19:00

詳しくはギャラリーホームページにて
http://www.misashin.com/

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MISA SHIN GALLERYでは2011年9月9日(金)から10月29日(土)まで、磯崎新の個展、過程|PROCESSを開催いたします。磯崎新は、その建築のみならず活発な評論活動、芸術文化活動においても広く知られています。本展では磯崎の半世紀にわたるキャリアのもっとも初期の段階である1960年から64年という時代において形成され、以後の磯崎の制作活動の根幹をなす「過程 PROCESS」というコンセプトに焦点をあて、思想の生成、美術とのかかわり、今でも終わることのない過程である磯崎の原点を探ります。

1960年には、アートではネオダダ・オルガナイザーズ、また建築ではメタボリズムと2つの重要なアバンギャルドムーブメントが起こりました。従来の絵の具やキャンバスに代わって、それらの作品群は、日常雑貨と廃品回収所からのオブジェで埋めつくされていました。当時、芸術、展覧会、建築、メディア等が組み立てて来た制度が生み出した価値基準が崩れ始め、そして彼らの間で共通していたのは、行きつくところまで崩してしまえという認識でした。

滝口修造がゲストエディターとなって発行された「美術手帖」の特別号「現代のイメージ」(1962年4月号臨時増刊)のために、磯崎はギリシャ神殿の廃墟に未来都市構想としての「ジョイント・コア・システム」をコラージュした作品を制作し、「孵化過程」と題した詩文とともに発表します。

未来都市と廃墟のイメージのコラージュ作品は、メタボリストによって開催された「未来の都市と生活」展(西武百貨店1962年)に出品を要請されますが、廃墟は展覧会のテーマである「すばらしい未来の生活」とはそぐわないとして、企画をした川添登によっていったん展示を拒否されます。「『未来都市は廃墟だ』と記すのは当時では美術の文脈のみに許されることであって、建築的な言説では拒否され無視されることであるのは分かっていた。それは自分が、建築や都市を美術のコンテキストで思考していたからだと言える」と、後に磯崎は語っています。結局、菊竹清訓や黒川紀章の取りなしで展示されるに至りますが、その時にコラージュとともに発表した作品、「孵化過程=ジョイント・コア・システム」は、1962年当時! の東京の写真をキャンバスに見立てて、その上に「不確定な他者の介入によって発生する都市の生成がアクションペインティングでシュミレーションされる」という、世界で初めて他者としてのオーディエンスの自発的な参加による作品でした。

磯崎にとっての都市とは、予定調和的に出来上がるものではなく、常に変動のプロセスにあり、完成した姿を見せることがないもの。磯崎の建築において重要な概念となっている「プロセスプランニング」は都市のデザインを構想している中で着想されたものです。

「建築とは、不確実で決定が不可能な条件下で、デザインを進行させることであり、想像の中では、有機物のように伸縮している。それをある瞬間にぶった切らねばならない。デザインの決定とはそんなものだと考えた。するとその切断面に伸縮する全過程が露出する。」 こうした意味では、メタボリズムと時期を同じにしながらも、思想的、手法的に、磯崎の建築は異質なものとして存在することになります。

本展では、1960年から64年までの磯崎の最初の思考のエッセンスともいえるコラージュを元にしたエッチング作品6点および、1997年に水戸芸術館の展覧会「日本の夏1960-64こうなったらやけくそだ!」ではじまり、本展初日のパフォーマンスで完成することになる「孵化過程=ジョイント・コア・システム」、さらに思考の変遷を経て生み出された傑作、1968年「再び廃墟になったヒロシマ」の大型シルクスクリーンプリントを展示いたします。どうぞ、ご期待ください。